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2009年12月15日火曜日

西日本新聞 土曜エッセー 2009年12月

2010.01.06公開

2009.12.19 西日本新聞 朝刊11面 土曜エッセイとして掲載されたテキストの元原稿です。
紙面は若干校正が入っております。


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『ねこびリターンズ』
 福岡市中央区大名の、ジョーキュー醤油さんの斜め前に「紺屋2023」という再生アパートがあります。ここの3階の一番奥が、わたしが運営する<オフィス兼資料倉庫兼会合スペース>の「アート・ベース88」(以下88)です。この88で年明けに「ねこびリターンズ」という展覧会をおこないます。
 寅年にひっかけた、ねこやその他いろんな動物ネタの展覧会です。でもこれは、猫好きさんが猫好きさんのためにやる展覧会ではないのです。だいいちわたしは、いわゆる猫マニアではありません。実は2007年に、博多区の冷泉荘でも「ねこび」をしました。誰でも参加していいですよ、という<無審査公募(アンデパンダン)>というスタイルです。今回も、このアンデパンダン形式で実施します。
 ふだん、アートプロジェクトや展覧会の企画をしていると、時代や思想を意識し、現代社会の問題点などを鋭く切り裂く、そんなテーマが求められ、作家もディレクターもストレスが強くなるときがあります。そんななかで、たまには<描きたいように描く>展覧会があってもいいのじゃないかと思ったのです。
 同時に、専門家的なアートの世界では鼻で笑われるような<日常>的なこと、<思想がない><オンナコドモがすること>といわれることを題材にしたかったのです。最先端を目指すのは面白くワクワクすることですが、いっぽうでなぜ「あんなのはつまらない」と決めつけてしまえるのか、そういう疑問がありました。
 あと、アンデパンダンの面白いところは「知らなかった作家に出会う」というところです。ギャラリーや知り合いの作家から紹介される以外に、ひょんなところから新人作家が登場してきたりします。
 さらに言えば、この展覧会では、なるだけ作品を売買する、ということも狙っています。福岡では地元作家の作品が売れることは極めて稀ですし、美術作品を買うという習慣もあまり一般的ではありません。しかし作家や企画者自身が自活してゆくためには、直接作品を売るという手段が最も分かりやすいのです。猫など動物を題材にしたものであれば、比較的実現しやすいかと考えました。
 さて、こういった思惑を秘めた「ねこびリターンズ」は1月8日から始まります(1月31日まで、火水木休み、14時から19時、入場無料)。会場には、来場者が猫のようにゴロゴロできるようコタツを用意するつもりです。トークイベントなども予定しています。2009年12月現在、約20組の作家が参加表明しており、そのなかには台湾からの作家も含まれています。<ねこ>というキーワードで繋がるものは、予想以上に多くて驚いています。
 「ねこび」自体は小さな企画です。先に書いたように大それたことをテーマにしているわけではありません。ただ、ここには「疑問に思ったことをきっかけにプロジェクトを作ってみる」というコンセプトがあります。アートには、そういう「ちょっと違う見方」が含まれていることが重要なのではないかと思っています。「アート・ベース88」では、<アートの隙間産業>的なイベントを時々仕掛けてゆきたいと思っています。
(2009.12.16 宮本初音)18:11保存

2009年11月25日水曜日

ARTing No. 3 原稿 ねこびリターンズ

ARTing 原稿 2009.11.16


展覧会名称:「ねこびリターンズ」
会期:平成22年(2010年)1月8日(金)〜31日(日) 金土日月のみ
 14時〜19時 ※火水木休み
主催:オハツ企画
会場:ART BASE 88(アート・ベース88)
 〒810-0041 福岡市中央区大名1-14-28 第1松村ビル 紺屋2023 #306
 電話fax 092-986-4888
 HP http://ohazkikaku.blogspot.com/

企画者によるメッセージ文
 「ねこびリターンズ」は、2007年春に冷泉荘で開催された「ねこび」の第2回展で、寅年に引っかけ2010年年頭に開催します。これはオハツ企画が主催する無審査公募(アンデパンダン)企画展で、ねこに限らず動物ネタ全般をテーマにします。
 そもそも無審査公募を始めたのは、(1)アーティストが自分の描きたいように描く展覧会がしてみたかった。(2)コンテンポラリーアートではメジャーではないテーマにしたかった。(3)見たことない作家に出会う場を作りたかった。そしてもうひとつ、(4)作品を売買し、作家を直接支援する場にしたかった。ということなのです。
 今回もおなじみ、ゆるめの会場構成予定〜コタツに入って作品鑑賞しながら、ねこ関連本などをぱらぱら眺め、ちょっとひといき休みましょう、でも実は次の手を虎視眈々と…、そんな感じで計画中です。(最新情報はブログからどうぞ)
 ※ちなみに私は猫マニアではありません。

宮本 初音(みやもと・はつね):ART BASE 88/オハツ企画代表

★参考写真
「ねこび」会場風景 2007年 冷泉荘 A32 アート・アパート88にて

2009年11月24日火曜日

2009年九州アート回顧 新美術新聞 2009.11.23

ネット公開2010.01.06
新美術新聞に掲載された元原稿です。


2009年11月 新美術新聞 2009年12月11・21日合併号 7面
 2009年の九州アート状況を振り返る
 作り手の交流が新しい活動を作り出す

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原稿送付 2009.11.23

※写真クレジット
撮影:久保貴史 
(C)別府現代芸術フェスティバル2009実行委員会

作家名:マイケル・リン
作品タイトル:別府 04.11-06.14.09
会場:別府国際観光港関西汽船のりば2階

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新美術新聞 2009.11.23「2009年の九州アート状況を振り返る」
宮本 初音(アート・コーディネーター、ART BASE 88/西天神芸術センター 代表)

 2009年九州で注目を集めたのは、温泉で名高い大分県別府市でおこなわれた別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」(4/11-6/14)であった。美術作家・山出淳也が国際芸術祭を開催する目的でNPOを立ち上げ、数年がかりで実現にこぎつけた。レトロな市街地や湯けむりの温泉街など別府の特徴的な地域を会場に、現代美術・コンテンポラリーダンス・音楽ライブなどをおこない、会期中は延べ200人を超す芸術家が別府に集った。行政や企業と協働し、国際交流を進める活動力は、地方では稀なことである。今後3年ごとの大規模事業と毎年の小規模イベントが計画されている。
 福岡では、この秋、福岡市美術館開館30周年記念「コレクション/コネクション」展(8/8-9/27)、福岡アジア美術館開館10周年記念「第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009」展(9/5-11/23)という二大記念展が開催され、同時期に福岡県立美術館で「大原美術館コレクション展」(10/10-11/29)、北九州国際ビエンナーレ2009「移民」(10/10-11/15)もあり、例年以上の「アートラッシュ」となった。にも関わらず、街全体をフェスティバル化できなかったのは美術館運営の状況が響いており、極めて残念な事態である。政府の事業仕分けの状況から今後さらに深刻になりかねない。
 その一方で、各地で若手作家達を軸にした活動が目立ってきている。熊本の、再生された問屋街地区での「河原町アートの日」(毎月第2日曜開催)や、佐賀大学学生が商店街を舞台に企画した「呉福万博」(9/5-9/22)、長崎・波佐見町の陶器工場跡を使ったアートスペース「モンネポルト」などである。これらの活動に、前述の別府フェスに関わった若手作家らが絡んでおり、その波は九州内だけでなく全国的に連動しつつある。
 作り手の交流が新しい活動を作り出す、九州のアートは新しい局面を迎えようとしている。

第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009 レビュー 台湾「藝術家」誌 2009/9月

台湾の「美術手帖」と称される<藝術家>誌にFT4のレビューを書きました。
(2009.9.12)

藝術家(Artist)413号 October 2009
p.140-145
共再生−為明日創造
第四届福岡亞州藝術三年展

日本語の元原稿です、誌面では中国語になっています
※引用等は「藝術家」誌を参照ください(アジ美図書室にあると思います)
※写真はFT4実行委員会とモマ・コンテンポラリーに提供してもらいました
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「芸術家」誌 FT4レビュー 2000字 2009.09.12 宮本初音


「第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009」(以下FT4)が9月5日に開幕した。アジア21の国と地域から43組のアジア作家が集う、福岡最大規模の現代アートフェスティバルであり、今回は福岡アジア美術館の開館10周年記念展ともなっている。テーマは「共再生—明日をつくるために」。「共生」と「再生」を合わせてつくられた造語である。

前身となる福岡アジア美術展(5年ごとに開催)は、30年前に福岡市美術館で開館記念展としてスタートした。困難を伴いながらも丹念に進められた現地調査をもとに開催にこぎつけたが、当時は「アジアに現代アートはない」などといわれのない非難を受けたりもしたという(FT4図録より)。批判や予算減にも負けず、着実な現地調査とアジア美術の企画展を積み重ねたことが、アジア美術館の開館を導き、さらにそこから10年が経った。この間のアジアアートをめぐる状況の変化はめまぐるしいものがある。ことにアジア美術館が開館したのちの10年は、チャイナ系アートの躍進、それにともなうマーケットの拡大が著しい。すでにアジアのアートは現地で発掘してくるものではなく、次に高値で取引されるものを探り出し、世界のマーケットを牽引する時代に突入している。
しかしFT4は、そういったアートマーケットを意識した作品を慎重に意図的に避け、これからの成長が期待される新進作家と、ゆるぎない実力を示す国際作家に焦点をあてた作家選考をした。ふたを開けて見れば、アジア美術のスターが勢揃いした粒ぞろいの作品がひしめく展示会場となった。

まず、美術館に入る前から1Fのエントランスでジャン・リーロイ・ニュー (Jan Leeroy C. New) の作品が待ち受けている。会場に入れば、ホァン・ヨンピン(Huang Yon Pin)大きな蛇の骨が度肝を抜く。2008年北京オリンピック開会式のアートディレクションもおこなったツァイ・グォチャン(蔡國強 Cai Guo-Chiang)の水墨画的な大作は、じっくり見入る観客が多い。電灯を使ったヤオ・ジョンハン(姚仲涵 Yao Chung-han)のインスタレーションや、動きがユーモラスなポース&ラオ(Pors & Rao)の作品が人気を集めている。重いテーマを扱いながら、映像を交えた巧みな構成で惹きつけるのは、ヤスミン・コビール & ロニ・アフメッド(Yasmine Kabir & Ronni Ahmmed)のインスタレーション「葬儀」。創作漢字作品で知られるシュ・ビン(Xu Bing 徐冰)は、文字をモチーフに森を作り出すという新たなプロジェクトを展開し、世界各国でワークショップがおこなえるような教科書を作り出している。カフェに隣接した広いラウンジスペースでは、淺井裕介が会期に先んじて現地制作をおこない、泥絵の技法で大作を描いている。

館内各作品はどれも見応えがあるが、今回は館外でも作品展示が実施されている。ユニット「ポスト・ミュージアム」(Post Museum)は美術館と市内のギャラリーの2カ所を使った「無料マーケット」と題したプロジェクトを展開、スカイプでつなぎながらワークショップをおこなったりもしている。
美術館から徒歩5分程度のところにあるリノベーションアパート「冷泉荘」では館外の正式会場として、6組の作家が展示をおこなっている。中でも日中韓の作家ユニット「西京人」(小沢剛、チェン・シャオション(陳劭雄)、キムホンソク/ Xijing Men (Ozawa Tsuyoshi, Chen Shaoxiong, Gimhongsok))による、架空の「西京国」を巡る作品は若い世代に大きな支持を得たようだ。

今回のFT4は、もともと、美術館を出てまちのなかでもっと多くのプロジェクトが想定されていたようである。初日にリアン・セコン(Leang Seckon)が美術館正面の商店街でパレード「踊るマカラ in 福岡」をおこなったが、実際には館外イベントがさほど多いとは言い難い。
そんななか、FT4と合わせ市中のギャラリーで個展をおこない、伝統ある神社に自作の絵馬を奉納したマイケル・リンの多彩な活動は注目を集めた。(個展と絵馬奉納のコーディネートはモマ・コンテンポラリーによる)

福岡ではもともと他都市に比べ、公立の美術館と民間ギャラリーやNPOが連携する例が少なくなかったが、最近はやや機会が減じているようである。アーティストが新しい表現を探しているときに、さまざまな立場の人が関わりやすいのは福岡の都市規模の利点である。これを活用しないのは大変に惜しい。

FTは「福岡トリエンナーレ」と読む。しかしながら、地元では「アジトリ」と略されることが多い。つまり、アジアの作家がやってくる展覧会であって、地元を盛り上げるトリエンナーレである、という風には受け止められていない。今回は特に、10周年というメモリアルな回であるのに、福岡の地元作家が参加していないということも影響している。地元作家の現場とFT4の現場に温度差があることは否めない。
アジア美術を巡る同美術館の歴史的な積み重ね、現在のアジア各地とのネットワークを、地元作家がしっかりと受け止め、FT開催を含めこの土地のアートを考えてゆくこと。アート以外の地元活力を繋いで作品や展覧会を積み上げてゆくこと。実はそれが今回のテーマである「共に生き、再生する」ということに繋がってゆくのではないだろうか。

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福岡アジア美術館 開館10周年記念
第4回 福岡アジア美術トリエンナーレ 2009
共再生―明日をつくるために
LIVE and LET LIVE: Creators of Tomorrow

会期
2009年9月5日(土)~11月23日(月・祝)
水曜休館 ※ただし9月23日(水・祝)は開館し、翌24日(木)休館
福岡アジア美術館(主会場):午前10時~午後8時(入場は午後7時30分まで)
冷泉荘(別会場):午前12時~午後6時

会場
福岡アジア美術館全館、周辺地域

公式サイト
日本語 http://www.ft2009.org/jpn/index.html
英語 http://www.ft2009.org/en/index.html
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宮本初音 Miyamoto Hatsune
(ART BASE 88 主宰、ミュージアム・シティ・プロジェクト事務局長)

2009年9月24日木曜日

ネットTAM リレーエッセイ57 2009年8月執筆

※現在ネットTAMで公開中です
http://www.nettam.jp/main/00home/column/57/


(LRで書いたものをベースに09年秋のアジトリに合わせてバージョンアップしたというところ。LRのもの=スペースや拠点にポイント、というより、プロジェクトや活動にポイントを置いて書きました)

2009年8月24日月曜日

TAM リレーコラム 090824

2009.11.24公開しました
引用や著作権はTAMに確認を願います

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タイトル:北部九州コンテンポラリーアートガイド 2009秋用 リンク集付き
執筆者:宮本初音(ART BASE 88 / 西天神芸術センター)
★赤は写真です

こんにちは。残暑お見舞い申し上げます。
昨年(2008年)のネットTAMのTAM SEEDに「西天神芸術センター」の野望を寄稿させていただいて、はや一年。本格的なセンターというにはまだまだですが、いくつかプロジェクトが始動しています。[なお、ミュージアム・シティ・プロジェクト事務局も同じ場所でやっています。]


★01 紺屋2023入口、2009年8月撮影


さて、みなさん、この秋の福岡は大規模企画展が目白押し、ちょっとしたアートラッシュになっています。ということで、北部九州へお越しの方へ、ガイドがわりにアートスポットやプロジェクトをご紹介します。

既に8月から開催中の福岡市美術館開館30周年記念展「コレクション/コネクション」展(- 9/23)では、館外の関連事業もあっています。(折元立身による「パン人間」は17年ぶりに福岡で見ることができ、当時関わっていたものとして感無量。)


★02・03 パン人間 折元立身 (福岡市美術館「コレクション/コネクション」展関連事業) 2009/8/22 福岡市天神他にて
★04 パン人間 折元立身(ミュージアム・シティ・天神 ‘92) 1992年[写真:ミュージアム・シティ・プロジェクト提供]


そして福岡で今年最大のアートイベント「第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009」(以下FT4)が9月からスタートします(9/5 – 11/23)。こちらも開館10周年というメモリアル展。アジア21ヶ国の国と地域、43組の錚々たるアーティストが参加します。


★05 淺井裕介 公開制作写真 (福岡アジア美術館) 2009年8月撮影


10月には「北九州国際ビエンナーレ」も始まります(10/10 - 11/15)。2回目となる今回は、門司港と小倉を会場に、<移民>をテーマにした映像系作品が多い企画になりそうです。テーマを掘り下げるシンポジウムや上映会は既に動き出しています。
同じく北九州地区で、NPOが運営する「街じゅうアート2009」も10/10 – 30に開催。

こういった大型企画に合わせ、福岡の各所で力の入ったアートイベントがおこなわれます。

天神の福岡県立美術館では10/10 – 11/29と「大原美術館コレクション展 名画に恋して」を開催、FT4に参加しているハツシバの別の作品がやってくる予定です。

三菱地所アルティアムではマイケル・リンが個展(9/5 - 10/11)。マイケルもまたFT4に参加し、さらに太宰府天満宮へ絵馬を奉納するというイベントを予定しています(9/6)。

この絵馬奉納のコーディネートをしているモマ・コンテンポラリーでは、「カンガルー日和」と題し、動物をテーマにした豪華作家陣によるグループ展を開催(9/4 - 10/17)。

いっぽうで、植物をテーマにした企画「ueki福岡・」は、沖縄の石垣克子さんを中心に横浜や福岡の作家が参加して「紺屋2023」のkonya galleryと ART BASE 88で開催します(9/18 - 27)。

博多湾に浮かぶ能古島では、福岡の実力派作家によるグループ展「NOKO PROJECT」が9/27まで開催中。

元気が良い地元若手の活動を観ようと思ったら、アジ美の近くの「art space tetra」や、薬院の「IAF SHOP*」がオススメ。
また天神の老舗「アートスペース貘」「ギャラリーとわーる」、博多駅近く「ヤマネアートラボ」も、この期間ならではの自信企画が目白押しです。
近郊では、久留米の元酒蔵「アートスペース千代福」や、朝倉市の元小学校「共星の里」も要チェック(風倉匠の遺作展が9/23まで開催中)。


そんな福岡の最近の特徴といえば、作家主導のレジデンスが増えている、という点でしょうか。
アトリエアパートにレジデンスを組み込んだ「旧大賀APスタジオ」(福岡市南区)や、定期的にベルリンから作家を招聘している「Studio Kura」(二丈町)の動向は注目です。
これとは別に、先月7月にスウェーデン作家と福岡作家が交流する「ノース サウス イースト ウエスト」というプロジェクトも始動、今後も世界中でこの活動が続くとのことです。
これら、いずれもそれぞれ作家が自主的に動いているのがいかにも福岡らしいところ。


★06 Studio Kura


このほか、すっかり定着したコンテンポラリーダンス公演「踊りに行くぜ」が10/10、アジアのユニークな映画がまとめて観られる「第19回アジアフォーカス・福岡国際映画祭」が9/18 — 27に開催され、正に芸術ザンマイの秋となっています。

本当にまだまだたくさんあるのですが、いまタウン誌やウェブなどで「コンテンポラリーアート」情報は、ほとんど見られなくなってしまいました。
先に書いたように、福岡のコンテンポラリーアートは、アート系NPOや行政主導ではなく、アーティスト自身が場をつくり、企画を作っていく傾向がますます強くなっています。ですから、情報がまとまって見えにくくなってしまうのです。


実は今回、このアートラッシュ期に何もないのはありえない!、ということで、西天神芸術センターを拠点に有志が集い、Fukuoka Art Tipsというグループを立ち上げ、マップとウェブをつくることになった次第です。
印刷物「福岡コンテンポラリーアートマップ2009」は、9月発行予定。これは地元アート関係者らの定額給付金による支援を受けて、制作しています。また、ウェブサイト「ART MANIA FUKUOKA」はブログとtwitterで情報を発信中です。(→「おすすめ!」情報参照)

このマップ、いずれは定期的に福岡のアート情報、レビュー、マップが載った和英マガジンとして発行し、国内外の主要スペースへ発送してゆきたいという野望を持っております。


さて、では近県はどうでしょう。福岡からJRや高速バスなどで1〜2時間で行ける大分、佐賀、熊本、長崎の状況をお伝えします。


大分県の別府市は、みなさんご存じのように今春「別府現代芸術フェスティバル2009 混浴温泉世界」を開催し、たいへん話題になりました。アートスペースとして常設している場所はないながらも、リノベーション施設「platform」を使ったアートプロジェクトや、若手作家が集った古アパートでの企画展が計画されています。コンヨク会期中毎週土曜にやっていた別府タワーでの「タワーナイト」というクラブイベントは、こんごも月に一度開催してゆくそうです。中心となるNPO法人 BEPPU PROJECTでは三年後にまた大型フェスティバルを開催したい、として着々とプランを構想中。動向に注目です。


★07・08 別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」
マイケル・リン(別府国際観光港)
ホセイン・ゴルバ(鉄輪、ひょうたん温泉裏)


その別府の隣まち、湯布院では「ゆふいん駅アートホール」が毎月好企画を開催していて、アートセンター的な場となっています。
また、金鱗湖に近い「gallery sow」では九州の若手作家個展が頻繁に開催されています。


2011年に九州新幹線の開通で博多と新たに繋がる熊本。
この地域のコンテンポラリーアート情報発信は、もちろん熊本市現代美術館(CAMK)が主軸となっていますが、最近、街の中心部に近い河原町商店街の活動「河原町文化市場」が話題になっています。毎月第2日曜に「アートの日」なるイベントを開催し、パフォーマンスや展示、販売をおこなっています。元は繊維問屋街という古い看板や路地、アーケードの風情が何ともそそられます。
前回のアートの日(2009/8/9)には、CAMKと連動したイベントを実施して、たいへん賑わいました。地元アーティストやギャラリーの活動が、公立文化施設と連動することでますますパワーアップしてゆきそうな気配です。


★09・10 河原町文化市場 アートの日 2009/8/9
大巻伸嗣パフォーマンス、市場の様子


佐賀では、東脊振ICから近い「AMP」が気を吐いています。元はお茶の倉庫だった場所を改装し、スタジオやカフェ、アートスペースとして再生。いわゆるゴリゴリのコンテンポラリーアートに偏らないアーティストの自然な発案によるイベントが各種おこなわれています。

AMPから車で数十分、佐賀市内の商店街では9/5 - 22「呉福万博」が予定されています。数年にわたり佐賀および各地でプロジェクトを積み重ねてきたこのチームは、いま伸び盛り。まちにどんなアートを仕掛けるのか、ぜひ観てみたいところです。


長崎では、波佐見町の旧陶器工場跡を再生したアートスペース「モンネ・ポルト」が注目です。波佐見は福岡から車で1時間半程度の距離にある、陶器のまち。ここ土地に伝わる捕鯨に関連したトークや、アフリカのアーティストを招いたり、かなりとんがったイベントを続け、新しい風を起こしています。

★11 monne porte外観


こうやって並べてみると、当たり前のことですが、やっぱり始まりはひとりのアーティスト、というプロジェクトやスペースが多いことに気づきます。「誰かのふとした発想」がどう拡大してゆくか、というところが面白いのかなあと思います。(その実現までの過程がプロかどうか、ということなのでしょう)

北部九州の名所旧跡火山と温泉の観光を組み込んだ、アート三昧ツアー、いかがでしょうか。西天神芸術センターでは 随時「福岡アート旅行代理店」として旅のご相談うけたまわっております。今後ともご贔屓に。

2009年8月
※写真は特記ないもの以外は筆者撮影

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【ART BASE 88および筆者の今後の予定】
2009/9/18 – 23 「ueki福岡・」 @ART BASE 88
2009年9〜11月 ART BASE 88でアートカフェ&ミニイベントを予定(不定期)
2009年10〜11月 BOOKOKA企画に参加(予定)
2009年11月頃 別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」報告会@福岡(予定)

【おすすめ!】
この秋の福岡のアート情報は、最新マップとウェブでどうぞ。
○「福岡コンテンポラリーマップ2009」は9月上旬発行。福岡市内主要アートスペースで配布予定。
○ウェブでは「ART MANIA FUKUOKA」ブログで情報公開。従来の「福岡コンテンポラリーアート掲示板」とも連動して、twitterで最新情報等をお知らせしています。
http://artmaniafukuoka.blogspot.com/
http://twitter.com/ArtManiaFukuoka
問い合わせ [artmaniafukuoka@gmail.com]

★12 ART MANIA FUKUOKA ロゴマーク (デザイン:h.f.g.)


【福岡コンテンポラリーアート リンク集】(順不同/2009年8月現在)

<福岡県>
福岡市美術館
www.fukuoka-art-museum.jp/
*開館30周年記念展「コレクション/コネクション」展 2009

福岡アジア美術館
http://faam.city.fukuoka.lg.jp/
*第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009 2009/9/5 - 11/23

福岡県立美術館
http://fpmahs1.fpart-unet.ocn.ne.jp/index2.html
*「大原美術館コレクション展 名画に恋して」 2009/10/10 - 11/29

art space tetra
http://www.as-tetra.info/

アートスペース貘
http://www.artspacebaku.net/

アートをたずねる月
http://fukuoka-artwalk.com/

IAF SHOP*
http://members.jcom.home.ne.jp/iaf_shop/

Asia Photographer's Gallery (APG)
http://www.apggallery.com/

ART BASE 88
http://travelers-project.info/306-08/

ギャラリーアートリエ(福岡市文化芸術振興財団)
http://www.ffac.or.jp/

ギャラリー風
http://www.gkaze.jp/

ギャラリーとわーる ※ギャラリー58ページ内
http://www.gallery-58.com/towa-ru.html

ギャラリーモリタ
http://www.g-morita.com/

konya gallery[紺屋2023]
http://konya2023.travelers-project.info/konya2023/

旧大賀APスタジオ
http://oapstudio.web.fc2.com/

共同アトリエ・3号倉庫
http://www.3gosoko.ne.jp/

TOKOPOLA[田川市、福岡市]
http://www.tokopola.com/

BOOKOKA
http://www.bookuoka.com/

ママとこどものアートじかん
http://www1.bbiq.jp/mom-art/

三菱地所アルティアム
http://artium.jp/

みるび 福岡アート&デザイン コミュニティ
http://milbi.jp/

モマ・コンテンポラリー
http://www.ne.jp/asahi/moma/contemporary/

ヤマネアートラボ
http://www.yamaneartlab.co.jp/

Studio Kura[二丈町]
http://www.studiokura.info/

九州国立博物館[太宰府]
http://www.kyuhaku.jp/

太宰府天満宮 ※アートプログラムは「宝物殿」「催し」などに掲載
http://www.dazaifutenmangu.or.jp/

石橋美術館[久留米]
http://www.ishibashi-museum.gr.jp/

アートスペース千代福[久留米]
http://chiyofuku.jpn.org/

共星の里 黒川INN美術館[朝倉]
http://blog.goo.ne.jp/kyouseinosato/

AIK(特定非営利活動法人アートインスティテュート北九州)
http://a-i-k.jp/
*第2回北九州国際ビエンナーレ「移民」 2009/10/10-11/29

NPO法人 創を考える会・北九州
http://www.sohkai.or.jp/
*「街じゅうアート2009」 2009/10/10 -10/30

GALLERY SOAP[小倉]
http://www5e.biglobe.ne.jp/~soap/

北九州市立美術館 本館[戸畑]・分館[小倉]
http://kmma.jp/

現代美術センター・CCA北九州[八幡]
http://www.cca-kitakyushu.org/jp/index.html

千草ホテル[八幡]
http://www.chigusa.co.jp/

八万湯プロジェクト[八幡]
http://ameblo.jp/hachimanyu/


<佐賀>
AMP[吉野ヶ里町]※Art is Magnanimous Plant (アートは寛大な植物である)
http://maglog.jp/amp-secibon/

呉福万博[佐賀市]
http://gofukubanpaku.web.fc2.com/

<熊本>
熊本市現代美術館
http://www.camk.or.jp/

河原町文化開発研究所
http://www.kawaramachi.net/


<大分>
アートプラザ[大分市]
http://www.art-plaza.jp/

NPO法人 BEPPU PROJECT[別府]
http://www.beppuproject.com/
*別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」
http://www.mixedbathingworld.com/

gallery sow, GALLERY BLUE BALLEN [湯布院]
http://web.mac.com/blueballen/iWeb/BLUEBALLEN/TOP.html

ゆふいん駅アートホール[湯布院]
http://www.yufuin.gr.jp/art/arttop.htm

「岡の里から」[竹田市]
http://okanosato.exblog.jp/


<長崎>
monne porte[波佐見]
http://monne-porte.jugem.jp/


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宮本 初音 090824現在
(ショートプロフィール)
1962年生まれ。1988年九州大学卒。福岡市在住。
アートコーディネーター、インディペンデントキュレーター。
「ART BASE 88」代表(西天神芸術センター)。ミュージアム・シティ・プロジェクト事務局長。2009年4-6月の別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」では副事務局長。

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バトンメッセージ
モンネ・ポルト スズキジュンコさんへ

アーティストとしても頑張ってるけど、生まれ育った土地と全然違う場所でアートスペースを作り上げようとしているスズキジュンコさん。そのパワフルさにいつも惚れ惚れしているとともに、従来のアートマネジメントとはひとあじ違う「アーティスト」的手法の行く末に、興味津々です。

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関連写真flickr(非公開)12枚
http://www.flickr.com/photos/ohaz88/sets/72157622127285540/

2009年8月20日木曜日

わ 090811

2009.11.24公開


財団法人 福岡市文化芸術振興財団機関誌「わ」
Vol.43 Autumn 2009
紺屋2023連載

※最新号情報
http://www.ffac.or.jp/magazine/index.html

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わ原稿 #306 ART BASE 88 宮本初音

[ベネチアの、路地]
人サイズの路を歩く。
自動車サイズではない幅、曲がったその先に何が隠れているのかわからない、行き先を不安に思いながら歩く、路地。例えば那覇の壺屋、別府の鉄輪、東京の神楽坂。
でもやはりベネチアは別格だ。10年訪れていなくても、頻りに夢に現れては誘い続ける、石畳パサージュの魔力。
まちとアート、というけれど、大きな広場や建造物ではなく、こういった闇の気配を含む処から想像力、創造する源泉は発してくる。
こんどはどの路地で迷おうか。