2009年12月15日火曜日

2009年秋〜冬 執筆原稿について

以下の原稿は掲載元メディアが発行されたのち、しばらくの間をおいて公開予定です


原稿執筆時期 メディア名

2009年11月 新美術新聞 2009年12月11・21日合併号 7面
 2009年の九州アート状況を振り返る
 作り手の交流が新しい活動を作り出す

*新美術新聞の公式サイト(記事はありません)
http://art-news.co.jp/shinbun.html


2009年12月 ARTing No. 3 ※2010年1月発行予定


2009年12月 西日本新聞 土曜エッセー ※2009年12月掲載予定

西日本新聞 土曜エッセー 2009年12月

2010.01.06公開

2009.12.19 西日本新聞 朝刊11面 土曜エッセイとして掲載されたテキストの元原稿です。
紙面は若干校正が入っております。


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『ねこびリターンズ』
 福岡市中央区大名の、ジョーキュー醤油さんの斜め前に「紺屋2023」という再生アパートがあります。ここの3階の一番奥が、わたしが運営する<オフィス兼資料倉庫兼会合スペース>の「アート・ベース88」(以下88)です。この88で年明けに「ねこびリターンズ」という展覧会をおこないます。
 寅年にひっかけた、ねこやその他いろんな動物ネタの展覧会です。でもこれは、猫好きさんが猫好きさんのためにやる展覧会ではないのです。だいいちわたしは、いわゆる猫マニアではありません。実は2007年に、博多区の冷泉荘でも「ねこび」をしました。誰でも参加していいですよ、という<無審査公募(アンデパンダン)>というスタイルです。今回も、このアンデパンダン形式で実施します。
 ふだん、アートプロジェクトや展覧会の企画をしていると、時代や思想を意識し、現代社会の問題点などを鋭く切り裂く、そんなテーマが求められ、作家もディレクターもストレスが強くなるときがあります。そんななかで、たまには<描きたいように描く>展覧会があってもいいのじゃないかと思ったのです。
 同時に、専門家的なアートの世界では鼻で笑われるような<日常>的なこと、<思想がない><オンナコドモがすること>といわれることを題材にしたかったのです。最先端を目指すのは面白くワクワクすることですが、いっぽうでなぜ「あんなのはつまらない」と決めつけてしまえるのか、そういう疑問がありました。
 あと、アンデパンダンの面白いところは「知らなかった作家に出会う」というところです。ギャラリーや知り合いの作家から紹介される以外に、ひょんなところから新人作家が登場してきたりします。
 さらに言えば、この展覧会では、なるだけ作品を売買する、ということも狙っています。福岡では地元作家の作品が売れることは極めて稀ですし、美術作品を買うという習慣もあまり一般的ではありません。しかし作家や企画者自身が自活してゆくためには、直接作品を売るという手段が最も分かりやすいのです。猫など動物を題材にしたものであれば、比較的実現しやすいかと考えました。
 さて、こういった思惑を秘めた「ねこびリターンズ」は1月8日から始まります(1月31日まで、火水木休み、14時から19時、入場無料)。会場には、来場者が猫のようにゴロゴロできるようコタツを用意するつもりです。トークイベントなども予定しています。2009年12月現在、約20組の作家が参加表明しており、そのなかには台湾からの作家も含まれています。<ねこ>というキーワードで繋がるものは、予想以上に多くて驚いています。
 「ねこび」自体は小さな企画です。先に書いたように大それたことをテーマにしているわけではありません。ただ、ここには「疑問に思ったことをきっかけにプロジェクトを作ってみる」というコンセプトがあります。アートには、そういう「ちょっと違う見方」が含まれていることが重要なのではないかと思っています。「アート・ベース88」では、<アートの隙間産業>的なイベントを時々仕掛けてゆきたいと思っています。
(2009.12.16 宮本初音)18:11保存