2009年8月24日月曜日

TAM リレーコラム 090824

2009.11.24公開しました
引用や著作権はTAMに確認を願います

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タイトル:北部九州コンテンポラリーアートガイド 2009秋用 リンク集付き
執筆者:宮本初音(ART BASE 88 / 西天神芸術センター)
★赤は写真です

こんにちは。残暑お見舞い申し上げます。
昨年(2008年)のネットTAMのTAM SEEDに「西天神芸術センター」の野望を寄稿させていただいて、はや一年。本格的なセンターというにはまだまだですが、いくつかプロジェクトが始動しています。[なお、ミュージアム・シティ・プロジェクト事務局も同じ場所でやっています。]


★01 紺屋2023入口、2009年8月撮影


さて、みなさん、この秋の福岡は大規模企画展が目白押し、ちょっとしたアートラッシュになっています。ということで、北部九州へお越しの方へ、ガイドがわりにアートスポットやプロジェクトをご紹介します。

既に8月から開催中の福岡市美術館開館30周年記念展「コレクション/コネクション」展(- 9/23)では、館外の関連事業もあっています。(折元立身による「パン人間」は17年ぶりに福岡で見ることができ、当時関わっていたものとして感無量。)


★02・03 パン人間 折元立身 (福岡市美術館「コレクション/コネクション」展関連事業) 2009/8/22 福岡市天神他にて
★04 パン人間 折元立身(ミュージアム・シティ・天神 ‘92) 1992年[写真:ミュージアム・シティ・プロジェクト提供]


そして福岡で今年最大のアートイベント「第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009」(以下FT4)が9月からスタートします(9/5 – 11/23)。こちらも開館10周年というメモリアル展。アジア21ヶ国の国と地域、43組の錚々たるアーティストが参加します。


★05 淺井裕介 公開制作写真 (福岡アジア美術館) 2009年8月撮影


10月には「北九州国際ビエンナーレ」も始まります(10/10 - 11/15)。2回目となる今回は、門司港と小倉を会場に、<移民>をテーマにした映像系作品が多い企画になりそうです。テーマを掘り下げるシンポジウムや上映会は既に動き出しています。
同じく北九州地区で、NPOが運営する「街じゅうアート2009」も10/10 – 30に開催。

こういった大型企画に合わせ、福岡の各所で力の入ったアートイベントがおこなわれます。

天神の福岡県立美術館では10/10 – 11/29と「大原美術館コレクション展 名画に恋して」を開催、FT4に参加しているハツシバの別の作品がやってくる予定です。

三菱地所アルティアムではマイケル・リンが個展(9/5 - 10/11)。マイケルもまたFT4に参加し、さらに太宰府天満宮へ絵馬を奉納するというイベントを予定しています(9/6)。

この絵馬奉納のコーディネートをしているモマ・コンテンポラリーでは、「カンガルー日和」と題し、動物をテーマにした豪華作家陣によるグループ展を開催(9/4 - 10/17)。

いっぽうで、植物をテーマにした企画「ueki福岡・」は、沖縄の石垣克子さんを中心に横浜や福岡の作家が参加して「紺屋2023」のkonya galleryと ART BASE 88で開催します(9/18 - 27)。

博多湾に浮かぶ能古島では、福岡の実力派作家によるグループ展「NOKO PROJECT」が9/27まで開催中。

元気が良い地元若手の活動を観ようと思ったら、アジ美の近くの「art space tetra」や、薬院の「IAF SHOP*」がオススメ。
また天神の老舗「アートスペース貘」「ギャラリーとわーる」、博多駅近く「ヤマネアートラボ」も、この期間ならではの自信企画が目白押しです。
近郊では、久留米の元酒蔵「アートスペース千代福」や、朝倉市の元小学校「共星の里」も要チェック(風倉匠の遺作展が9/23まで開催中)。


そんな福岡の最近の特徴といえば、作家主導のレジデンスが増えている、という点でしょうか。
アトリエアパートにレジデンスを組み込んだ「旧大賀APスタジオ」(福岡市南区)や、定期的にベルリンから作家を招聘している「Studio Kura」(二丈町)の動向は注目です。
これとは別に、先月7月にスウェーデン作家と福岡作家が交流する「ノース サウス イースト ウエスト」というプロジェクトも始動、今後も世界中でこの活動が続くとのことです。
これら、いずれもそれぞれ作家が自主的に動いているのがいかにも福岡らしいところ。


★06 Studio Kura


このほか、すっかり定着したコンテンポラリーダンス公演「踊りに行くぜ」が10/10、アジアのユニークな映画がまとめて観られる「第19回アジアフォーカス・福岡国際映画祭」が9/18 — 27に開催され、正に芸術ザンマイの秋となっています。

本当にまだまだたくさんあるのですが、いまタウン誌やウェブなどで「コンテンポラリーアート」情報は、ほとんど見られなくなってしまいました。
先に書いたように、福岡のコンテンポラリーアートは、アート系NPOや行政主導ではなく、アーティスト自身が場をつくり、企画を作っていく傾向がますます強くなっています。ですから、情報がまとまって見えにくくなってしまうのです。


実は今回、このアートラッシュ期に何もないのはありえない!、ということで、西天神芸術センターを拠点に有志が集い、Fukuoka Art Tipsというグループを立ち上げ、マップとウェブをつくることになった次第です。
印刷物「福岡コンテンポラリーアートマップ2009」は、9月発行予定。これは地元アート関係者らの定額給付金による支援を受けて、制作しています。また、ウェブサイト「ART MANIA FUKUOKA」はブログとtwitterで情報を発信中です。(→「おすすめ!」情報参照)

このマップ、いずれは定期的に福岡のアート情報、レビュー、マップが載った和英マガジンとして発行し、国内外の主要スペースへ発送してゆきたいという野望を持っております。


さて、では近県はどうでしょう。福岡からJRや高速バスなどで1〜2時間で行ける大分、佐賀、熊本、長崎の状況をお伝えします。


大分県の別府市は、みなさんご存じのように今春「別府現代芸術フェスティバル2009 混浴温泉世界」を開催し、たいへん話題になりました。アートスペースとして常設している場所はないながらも、リノベーション施設「platform」を使ったアートプロジェクトや、若手作家が集った古アパートでの企画展が計画されています。コンヨク会期中毎週土曜にやっていた別府タワーでの「タワーナイト」というクラブイベントは、こんごも月に一度開催してゆくそうです。中心となるNPO法人 BEPPU PROJECTでは三年後にまた大型フェスティバルを開催したい、として着々とプランを構想中。動向に注目です。


★07・08 別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」
マイケル・リン(別府国際観光港)
ホセイン・ゴルバ(鉄輪、ひょうたん温泉裏)


その別府の隣まち、湯布院では「ゆふいん駅アートホール」が毎月好企画を開催していて、アートセンター的な場となっています。
また、金鱗湖に近い「gallery sow」では九州の若手作家個展が頻繁に開催されています。


2011年に九州新幹線の開通で博多と新たに繋がる熊本。
この地域のコンテンポラリーアート情報発信は、もちろん熊本市現代美術館(CAMK)が主軸となっていますが、最近、街の中心部に近い河原町商店街の活動「河原町文化市場」が話題になっています。毎月第2日曜に「アートの日」なるイベントを開催し、パフォーマンスや展示、販売をおこなっています。元は繊維問屋街という古い看板や路地、アーケードの風情が何ともそそられます。
前回のアートの日(2009/8/9)には、CAMKと連動したイベントを実施して、たいへん賑わいました。地元アーティストやギャラリーの活動が、公立文化施設と連動することでますますパワーアップしてゆきそうな気配です。


★09・10 河原町文化市場 アートの日 2009/8/9
大巻伸嗣パフォーマンス、市場の様子


佐賀では、東脊振ICから近い「AMP」が気を吐いています。元はお茶の倉庫だった場所を改装し、スタジオやカフェ、アートスペースとして再生。いわゆるゴリゴリのコンテンポラリーアートに偏らないアーティストの自然な発案によるイベントが各種おこなわれています。

AMPから車で数十分、佐賀市内の商店街では9/5 - 22「呉福万博」が予定されています。数年にわたり佐賀および各地でプロジェクトを積み重ねてきたこのチームは、いま伸び盛り。まちにどんなアートを仕掛けるのか、ぜひ観てみたいところです。


長崎では、波佐見町の旧陶器工場跡を再生したアートスペース「モンネ・ポルト」が注目です。波佐見は福岡から車で1時間半程度の距離にある、陶器のまち。ここ土地に伝わる捕鯨に関連したトークや、アフリカのアーティストを招いたり、かなりとんがったイベントを続け、新しい風を起こしています。

★11 monne porte外観


こうやって並べてみると、当たり前のことですが、やっぱり始まりはひとりのアーティスト、というプロジェクトやスペースが多いことに気づきます。「誰かのふとした発想」がどう拡大してゆくか、というところが面白いのかなあと思います。(その実現までの過程がプロかどうか、ということなのでしょう)

北部九州の名所旧跡火山と温泉の観光を組み込んだ、アート三昧ツアー、いかがでしょうか。西天神芸術センターでは 随時「福岡アート旅行代理店」として旅のご相談うけたまわっております。今後ともご贔屓に。

2009年8月
※写真は特記ないもの以外は筆者撮影

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【ART BASE 88および筆者の今後の予定】
2009/9/18 – 23 「ueki福岡・」 @ART BASE 88
2009年9〜11月 ART BASE 88でアートカフェ&ミニイベントを予定(不定期)
2009年10〜11月 BOOKOKA企画に参加(予定)
2009年11月頃 別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」報告会@福岡(予定)

【おすすめ!】
この秋の福岡のアート情報は、最新マップとウェブでどうぞ。
○「福岡コンテンポラリーマップ2009」は9月上旬発行。福岡市内主要アートスペースで配布予定。
○ウェブでは「ART MANIA FUKUOKA」ブログで情報公開。従来の「福岡コンテンポラリーアート掲示板」とも連動して、twitterで最新情報等をお知らせしています。
http://artmaniafukuoka.blogspot.com/
http://twitter.com/ArtManiaFukuoka
問い合わせ [artmaniafukuoka@gmail.com]

★12 ART MANIA FUKUOKA ロゴマーク (デザイン:h.f.g.)


【福岡コンテンポラリーアート リンク集】(順不同/2009年8月現在)

<福岡県>
福岡市美術館
www.fukuoka-art-museum.jp/
*開館30周年記念展「コレクション/コネクション」展 2009

福岡アジア美術館
http://faam.city.fukuoka.lg.jp/
*第4回福岡アジア美術トリエンナーレ2009 2009/9/5 - 11/23

福岡県立美術館
http://fpmahs1.fpart-unet.ocn.ne.jp/index2.html
*「大原美術館コレクション展 名画に恋して」 2009/10/10 - 11/29

art space tetra
http://www.as-tetra.info/

アートスペース貘
http://www.artspacebaku.net/

アートをたずねる月
http://fukuoka-artwalk.com/

IAF SHOP*
http://members.jcom.home.ne.jp/iaf_shop/

Asia Photographer's Gallery (APG)
http://www.apggallery.com/

ART BASE 88
http://travelers-project.info/306-08/

ギャラリーアートリエ(福岡市文化芸術振興財団)
http://www.ffac.or.jp/

ギャラリー風
http://www.gkaze.jp/

ギャラリーとわーる ※ギャラリー58ページ内
http://www.gallery-58.com/towa-ru.html

ギャラリーモリタ
http://www.g-morita.com/

konya gallery[紺屋2023]
http://konya2023.travelers-project.info/konya2023/

旧大賀APスタジオ
http://oapstudio.web.fc2.com/

共同アトリエ・3号倉庫
http://www.3gosoko.ne.jp/

TOKOPOLA[田川市、福岡市]
http://www.tokopola.com/

BOOKOKA
http://www.bookuoka.com/

ママとこどものアートじかん
http://www1.bbiq.jp/mom-art/

三菱地所アルティアム
http://artium.jp/

みるび 福岡アート&デザイン コミュニティ
http://milbi.jp/

モマ・コンテンポラリー
http://www.ne.jp/asahi/moma/contemporary/

ヤマネアートラボ
http://www.yamaneartlab.co.jp/

Studio Kura[二丈町]
http://www.studiokura.info/

九州国立博物館[太宰府]
http://www.kyuhaku.jp/

太宰府天満宮 ※アートプログラムは「宝物殿」「催し」などに掲載
http://www.dazaifutenmangu.or.jp/

石橋美術館[久留米]
http://www.ishibashi-museum.gr.jp/

アートスペース千代福[久留米]
http://chiyofuku.jpn.org/

共星の里 黒川INN美術館[朝倉]
http://blog.goo.ne.jp/kyouseinosato/

AIK(特定非営利活動法人アートインスティテュート北九州)
http://a-i-k.jp/
*第2回北九州国際ビエンナーレ「移民」 2009/10/10-11/29

NPO法人 創を考える会・北九州
http://www.sohkai.or.jp/
*「街じゅうアート2009」 2009/10/10 -10/30

GALLERY SOAP[小倉]
http://www5e.biglobe.ne.jp/~soap/

北九州市立美術館 本館[戸畑]・分館[小倉]
http://kmma.jp/

現代美術センター・CCA北九州[八幡]
http://www.cca-kitakyushu.org/jp/index.html

千草ホテル[八幡]
http://www.chigusa.co.jp/

八万湯プロジェクト[八幡]
http://ameblo.jp/hachimanyu/


<佐賀>
AMP[吉野ヶ里町]※Art is Magnanimous Plant (アートは寛大な植物である)
http://maglog.jp/amp-secibon/

呉福万博[佐賀市]
http://gofukubanpaku.web.fc2.com/

<熊本>
熊本市現代美術館
http://www.camk.or.jp/

河原町文化開発研究所
http://www.kawaramachi.net/


<大分>
アートプラザ[大分市]
http://www.art-plaza.jp/

NPO法人 BEPPU PROJECT[別府]
http://www.beppuproject.com/
*別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」
http://www.mixedbathingworld.com/

gallery sow, GALLERY BLUE BALLEN [湯布院]
http://web.mac.com/blueballen/iWeb/BLUEBALLEN/TOP.html

ゆふいん駅アートホール[湯布院]
http://www.yufuin.gr.jp/art/arttop.htm

「岡の里から」[竹田市]
http://okanosato.exblog.jp/


<長崎>
monne porte[波佐見]
http://monne-porte.jugem.jp/


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宮本 初音 090824現在
(ショートプロフィール)
1962年生まれ。1988年九州大学卒。福岡市在住。
アートコーディネーター、インディペンデントキュレーター。
「ART BASE 88」代表(西天神芸術センター)。ミュージアム・シティ・プロジェクト事務局長。2009年4-6月の別府現代芸術フェスティバル2009「混浴温泉世界」では副事務局長。

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バトンメッセージ
モンネ・ポルト スズキジュンコさんへ

アーティストとしても頑張ってるけど、生まれ育った土地と全然違う場所でアートスペースを作り上げようとしているスズキジュンコさん。そのパワフルさにいつも惚れ惚れしているとともに、従来のアートマネジメントとはひとあじ違う「アーティスト」的手法の行く末に、興味津々です。

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関連写真flickr(非公開)12枚
http://www.flickr.com/photos/ohaz88/sets/72157622127285540/

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